瓶装地狱
島田宏和、フィアンセの田村芳子、宏和の妹、恵の三人は宏和の亡父の別荘のある離島に向かってモーターボートを走らせていた。父は瓶のコレクターらしく、別荘には様々な瓶が並べられており、恵は書斎で鍵の入ったビール瓶を見つけた。鍵の合う抽斗を開けると、そこには拳銃と日記帖があった。日記は、難波して南海の孤島に漂着した太郎とアヤコの兄妹の近親相姦が綴られ、瓶に詰められて流されて来たものだった。恵は日記に引きずりこまれていき、自分と兄の関係を想像した。その時、リビングルームで貪り合う宏和と芳子の喘ぎ声が聞こえ、恵は、あの人とお兄ちゃんがしていると思うと、たまらず、ビール瓶を股間に挿入してオナニーを始めた。一方、書斎から洩れる光が気になった宏和がドアを開くと、そこでは妹が自慰に枕っていた。恵は兄に見られて一層興奮する。浜辺に出た恵はビール瓶を拳銃で射ち、海の中に入っていく。ガウンを待って迎える兄。宏和は日記のことを知っており、二人は互いに求めていることを悟るが、その時、芳子の呼ぶ声で我に帰った。翌日、ボートから落ちた恵を救おうとして宏和は海に飛び込み、その二人の仲を芳子は嫉妬むきだしの眼で見つめていた。そしてその夜、雷が落ちて停電になり、二人はついにこらえきれず、激しく体を重ねた。芳子は泣きじゃくるだけだった。二人は、兄妹というタブーを越えて、狂おしく求め合い、芳子はその行為の生き証人として、瓶に詰められて海に流されていく……。...
异形之恋
自主映画「忘れられない女」「東京女」がゆうばり国際・冒険ファンタスティック映画祭などで話題となったインディーズ映画界の異才・堀井彩監督の劇場映画第一作。人間の孤独や絶望、その果てにある希望を、徹底した肉体描写で描き出した異色の青春恋愛活劇。主演は「キッズ・リターン」の西川方啓。二人のヒロインに奈賀毬子と田中愛理。雨の晩、東京での生活に破れ、絶望の淵を彷徨っているところを同性愛者の女性・多菜子に拾われた晃。彼は、自分が性的不能だと偽って、多菜子の部屋に転がり込む。しかし、多菜子は晃の心などお構いなしで、恋人・菫を部屋に連れ込みセックスを繰返す日々。晃はいつか、多菜子が自分の気持ちに気づいてくれて、隣の夫婦のように幸せな家庭が築けると思っていた。だが、それが適わずに苛立ちを募らせていく。「もっと強い男になれば、振り向いてもらえるかもしれない」。そう考えた晃は、サラリーマン狩りをしていた若者たちに金属バットを振り下ろすのだった…。一方、歩道橋ではひとりの少女・切子が、毎朝、通りすがりの男たちに声をかけていた。切子は、一刻も早く東京を出て行きたい理由があった。暴力を繰り返しながら、多菜子にも受け入れてもらえず苛立ちが募っていった晃は、切子に出会い、性のはけ口にしてしまう。それを知りながらも、晃にしがみついてくる切子。やがて、切子の秘密を知った晃は、恋愛地獄から抜け出せなくなってしまう…。
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